地方自治の本旨に反する 改正地方自治法

6月の国会で成立した改正地方自治法は「非常事態なら国は自治体に対策実施を指示できる」という。「これは、自民党が改憲憲法に盛り込みたいとしている緊急事態条項の先取りではないか?」との疑問から、11月17日神奈川ネットワーク運動の学習会―講師立憲民主党政務調査会の横田昌三さんに参加した。

戦前の中央集権体制が軍国主義・戦争へつながったとの反省から、地方分権を推し進める民主国家へと歩み始めた戦後、日本国憲法が施行された1947年に地方自治法が制定された。地方自治は日本国憲法に明記され、その根拠法が地方自治法だ。住民の意思にもとづく住民自治と政府から独立した機能を持つ団体自治を保障していることで地方自治の本旨と言われる。「地方公共団体は住民の福祉の増進を図ることを基本とし、地域の行政を自主的・総合的に実施する。」「国は住民に身近な行政は地方公共団体に委ね、地方公共団体の制度や施策の策定・実施は地方公共団体の自主性・自立性が十分に発揮されるようにしなければならない(地方自治法1条2)」と明記している。2000年地方分権一括法で国と地方公共団体は「上下主従」から「対等・協力」の関係とした。戦前の中央集権国家体制から大きく民主化したと言える。

改正地方自治法は第14章に特例規定を新設し、「国民の安全に重大な影響を及ぼす事態が発生し、又は発生するおそれがある場合」に、各大臣が閣議決定により地方公共団体に必要な指示をする権限を盛り込んでいる。「おそれがある」の判断は各大臣に一任、閣議決定のみで発動でき国会の事前関与は規定されていないので、時の内閣の恣意的な判断で自治体に指示が行われ、国に従う義務を自治体に課すことになる。

地方自治の本旨に反し、戦前の中央集権国家に逆戻りではないか?コロナ禍や災害に対しては「感染症法」「災害対策基本法」などで対応可能だ。今、自治法を改正する必要はなく、むしろ地方分権をすすめるべきだ。学習会で私達の活動は憲法に保障されている住民自治を実施してることを認識した。さらなる民主主義社会へと活動をすすめていきたい。