気候正義
2月4日武本匡弘さんの「気候危機と平和の危機」の講座を受けた。そこで「気候正義」という概念・言葉をはじめて知った。CO2排出国の先進国がもたらした気候変動はその犠牲となっている途上国との間に、また、気候変動をもたらした現代の人々とこれからの将来世代と生物へ不正義(不公平)を生んでいる。先進国が引き起こした気候変動への責任を果たし、すべての人々の暮らしと生態系の尊さを重視した取り組みを行う事によって、不公平さを正していこうという考え方だ。「気候正義」はパリ協定の前文に書かれていて、ヨーロッパでは小学5年生で習うそうだ。今を生きる大人の暮らし方、考え方がこれからの地球の寿命をきめるといって過言でないと思われた。
武本さんは海に潜っているダイバー・目撃者として、体験に基づいて気候危機を熱く語った。沖縄のサンゴ礁はガレキの海と化してきた。日本近海の海水温が地球上で1番熱く、原子力発電の排水や火力発電などで海水温が上昇しているためだ。サンゴ礁に生きる魚は死滅する。それは太平洋の島々でもみられ、自給自足ができなくなり、軍隊に入って生活するようになってきた。マーシャル諸島の大統領はニュージーランド・オーストラリア・カナダ・米国へ難民要請を出した。世代間の不正義は人間ばかりでなく地球上のあらゆる生物へ。北極の白熊はやせ細り、オーストラリアでは海亀の雌雄比が116:1と雌ばかりになり、いずれ絶滅種に(温度依存性決定の海亀は孵化時に29℃以上の環境だと雌になる)。
軍用機器の製造や軍用機・戦艦の燃料排出など世界の軍事活動による二酸化炭素排出量は地球規模で年間総排出量の5.5%にもなっている。戦争だけでなくその準備から戦後処理までの全てが、環境破壊の連続だ。そして、一瞬にして人の命と地球環境を破壊するのが核兵器だ。気候危機と平和の危機で、地球を滅ぼしてはならない。
2020年度以降の気候変動対策の国際的な枠組みのパリ協定では産業革命以前より世界の平均気温を2℃上げないことを目指し、2030年度までに1.5℃に抑える中間目標だったが、2024年度の平均気温は1.5℃を超えた。4℃を超えると臨界期となり、人類は生きていけないといわれている。気候危機に対して私達は何ができるのだろうか?先ずは真実を知ることが大切だが、日本の報道の自由度は低い(世界70位)。争いを起こさないために、平和外交を進めていく政治を選択していくことが大切だ。電力は再生可能エネルギー由来を選び、日々の生活はなるべくプラスチックフリーを選択するなど、今を生きる先進国の市民として、気候正義を意識した行動で将来社会へ責任を持ちたい。