オリンピックはダイバシティ(多様性)への出発点
「女性がたくさん入っている会議は時間がかかる」2月3日森喜朗日本オリンピック組織委員会会長の臨時組織委員会での発言だ。女性蔑視と内外から非難が日を追うごとに殺到し、辞任に追い込まれた。そして、その会議の出席者の中から、森会長の発言に笑い声が漏れ、だれひとり、会長の発言に異議を申し出た者がいなかったことは、日本社会のジェンダー意識の低さを露呈した。女性の社会進出度を表すジェンダーギャップ指数(男女格差指数)では、日本は153ヶ国中121位という低さだ。特に政治分野では144位である。
日本オリンピック組織委員会会長には、オリンピック理念「平等と平和」を理解し、推進する人が就くべきだ。東京五輪基本コンセプトは「多様性と調和」を掲げ、「人種、性別、性的指向、宗教、障がいの有無など、世界中の人々が多様性と調和の重要性を改めて認識し、共生社会を育むきっかけとなるような大会を目指す」としている。
森会長辞任でこの発言を帳消しにはできない。性の違いや障がいの有無の前に、一人の人間として、誰もが自分らしく生きていくことが出来る共生社会へ、オリンピックはその契機とすべきだ。
「男らしく」「女らしく」の国民意識の変革を促すのが、条例制定や制度の改革だ。秋には衆議院選挙が行われる。その時こそ、クオーター制を実施すべきだ。女性議員の割合をあらかじめ一定数に定めて、積極的に起用することで遅れている政治分野への女性進出を後押しできる。選択制夫婦別姓制度、LGBTなどのカップルを認めるパートナーシップ宣言制度、果ては女性天皇についてまで、広く議論を進めて、オリンピックを機に日本社会を多様性と調和の共生社会へと脱皮しよう。