携帯基地局、撤去される

杉久保南、椿地蔵バス亭付近の畑に囲まれた中に10年前に建てられた携帯基地局が2月19日撤去されました。10年間経ち、地主が再契約を結ばなかったことによります。

2011年秋に、電磁波の健康被害などを考える地域住民が携帯会社に対して説明会を求め、3回ほど事前説明会が開かれ、海老名ネットも参加しました。設置基準や周辺住民への事前説明は国や会社の基準に則っていることや電話が通じにくいとの声もあるとして、住民の納得・合意もないまま携帯基地局は建てられ稼働しました。

その時集まった人たちを中心に、「携帯基地局による健康被害を考える会」が発足し海老名ネットも参加しました。この電波塔は、稼働直後から近隣住民の健康被害問題を引き起こしました。耳鳴り・頭痛・頭鳴・鼻血・肩こりなどからイライラ・倦怠感などです。毎月1回土曜の夜の会合では、電磁波・健康被害について学習しました。そして、市民対象の電磁波学習会を実施しました。また、携帯会社や市役所の測定器による地域の電磁波測定をしました。携帯基地局設置に関する条例を市民活動から作り上げた、鎌倉市の活動に学ぼうと鎌倉ネットを訪問しました。こうした活動から得た情報を地域住民へ提供するチラシ・会報を作り、各戸へ配布しました。そして、海老名市の条例制定へ向けて、2016年9月市議会へ請願書を提出しました。請願議員として議会で市民活動をサポートしましたが、成立には至りませんでした。しかし、2018年4月施行「住みよいまちづくり条例」に鉄塔などを建設するときは業者が事前に近隣住民への周知が義務付けられ一応、会の目的は達成できたとし、解散しました。

この10年間の経緯を振り返ると、携帯基地局のアンテナが撤去されることは感慨深く朗報です。電波環境を良くするためにと土地を提供した地主さんは、地域住民の健康被害をアピールする活動により、再契約に応じなかったと推測します。10年かかりましたが、声を出し続けていくことの大切さを学びました。

2月19日3人の作業員が、アンテナ設備の取り外しをしていました。ここを撤去したら、新たな場所に建てるのかと聞いたら、基地局の性能が良くなったのでその予定はないとのことでした。新たな電磁波被害地域を出さないことに、一安心しました。窓を開けると基地局のアンテナが見えるだけでも心的な圧迫感を10年間受けていらしたのだと、高い鉄塔を見ながら感じました。「今日の青空のように心も晴れた。」と一緒に活動してきた地域の方。

今後は、高速大容量の5Gが、100~200メートル間隔で基地局を作るだろうことを危惧します。特に学校の校舎内は、子どもたちが被害の対象です。電磁波過敏症の方が増える中で、予防原則でこの問題にあたっていくことが必要です。これからも、生活の中の問題を、地域住民と共に社会へ発信し、解決に向けていきます。

アンテナ撤去作業