5年連続幸福度世界一のフィンランドはこんな国でした ~「えびなえんぴつの会」第3回出前講座より
フィンランドの教育目標は「社会参画する大人の育成」であり「誰一人残さない」ことを理念としている。「やる気が起きるのを待つ」「できない子にこそ手厚い見守りを」「競争より協力」という考えを国民が皆共有し、「競争をやめたら学力世界一になった」ということだ。博士課程まで教育費は無料、教材費も給食費も無料である。社会全体に「若い人を信じる」という風潮がある。大きな選挙の前に、小・中・高校で模擬選挙を実施し、結果を公表する。そして、国政の投票率は71.4%
女性の活躍は目覚ましく、世界一若い女性首相、大臣は女性の方が一人多く、5党連立政権の5党党首は全て女性、内4人は30代で子持ち。10代から政治関与が盛んなので、若い政治家でも未熟とは言えない。医者、教職も女性が多く、男性はエンジニアやIT系が多いという。
森と湖が多く自然を愛する国民性、太陽が一番という価値観なので、幸せを感じるハードルが低いようなのだ。食事はシンプルで生活は質素である。「幸福度世界一」もピンとこない様子。あまり欲がなく、普通の生活が保たれればよいということか。高福祉・高負担と言われるが、困った時に国が必ず支えてくれるから文句は出ない。貯金の必要もないという。
世界大戦のあと福祉国家を目指したフィンランドは、日本とは全く違った方向へ進んだ。豊かな資源はなく、「資源は人」であると定め、無理なく手厚く国民を育てたのだ。シャイで寡黙。日本人に似ていると言われる国民性に親しみを感じる一方で、こんなにも違ってしまった国のあり様に言葉がない。(廣田)
*「えびなえんぴつの会」は自主夜間中学として、2018年9月から学びたい人をボランティアで支えている。海老名市市民活動推進補助金制度を活用して、広く市民に呼び掛けて出前講座を開催している。第1回:2020年10月「ピアニストは空気が読めない」元東京芸術大学副学長・渡辺健二さん演奏とお話 第2回:2021年5月「学ぶとは~教育と憲法を考える」前文部科学省事務次官・前川喜平さんお話 第3回:2022年5月「フィンランドってどんな国」フィンランド大使館員・堀内都喜子さんのお話 第4回:2022年11月「楽器のお話と演奏」マリンバ・ピアノ・フルートを予定。